山崎豊子著 ムッシュ・クラタ

ムッシュ・クラタ (新潮文庫)

ムッシュ・クラタ (新潮文庫)

ムッシュ・クラタ」は中編小説。
他に「晴着」「へんねし」「醜男」が収められている。

生涯ダンディズムを貫いた新聞記者だった倉田玲の話。

著者が死亡記事を見て クラタという人物に興味を抱き、
彼に関わる人たちを取材することによって人間像を
浮かび上がらせた。

フランスをこよなく愛し、フランス語から小物まで
すべて一流、決して妥協しなかった。

第二次世界大戦中、フィリピンに報道員として送られ、
戦火激しい最中でも徹底してその姿勢を崩さない。

一見非情に見えるクラタ。
だが決して見かけだけダンディな男ではなかった。


「晴着」、「へんねし」は幸薄い女性の話。

「晴着」では志津が亭主の弟と駆け落ちする。
私は思わず心の中で拍手した。結婚してすぐに妻に無関心となった夫と
志津を家畜のようにしか思っていない姑から逃れるために。
果たして志津は幸せになれるでしょうか・・・

「へんねし」では妻が浮気性の旦那への恨みなど微塵も顔に出さず
毎日を送っているが返って亭主をいらいらさせている。

しかし家が火事らしいと 愛人の家から飛んで帰っていった時に
夫は妻房子の”へんねし”に初めて気づく。

人間は(女は?)やっぱり綺麗事ではすまないのだ。

「醜男」”岩治”は哀れなまでに醜い男で無教養だが
この上なく美しい妻峰子をもらう。

それが自慢の岩治だったが、事情があって醜くも心暖かい後妻をもらう。

悲しいまでに峰子に尽くす岩治と後妻の行方は・・・・

たまたま本屋さんで見つけた本。
今日は買い物ついでのカフェで一気に読んでしまいました。