- 作者: 山崎豊子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1993/08
- メディア: 文庫
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「ムッシュ・クラタ」は中編小説。
他に「晴着」「へんねし」「醜男」が収められている。
生涯ダンディズムを貫いた新聞記者だった倉田玲の話。
著者が死亡記事を見て クラタという人物に興味を抱き、
彼に関わる人たちを取材することによって人間像を
浮かび上がらせた。
フランスをこよなく愛し、フランス語から小物まで
すべて一流、決して妥協しなかった。
第二次世界大戦中、フィリピンに報道員として送られ、
戦火激しい最中でも徹底してその姿勢を崩さない。
一見非情に見えるクラタ。
だが決して見かけだけダンディな男ではなかった。
「晴着」、「へんねし」は幸薄い女性の話。
「晴着」では志津が亭主の弟と駆け落ちする。
私は思わず心の中で拍手した。結婚してすぐに妻に無関心となった夫と
志津を家畜のようにしか思っていない姑から逃れるために。
果たして志津は幸せになれるでしょうか・・・
「へんねし」では妻が浮気性の旦那への恨みなど微塵も顔に出さず
毎日を送っているが返って亭主をいらいらさせている。
しかし家が火事らしいと 愛人の家から飛んで帰っていった時に
夫は妻房子の”へんねし”に初めて気づく。
人間は(女は?)やっぱり綺麗事ではすまないのだ。
「醜男」”岩治”は哀れなまでに醜い男で無教養だが
この上なく美しい妻峰子をもらう。
それが自慢の岩治だったが、事情があって醜くも心暖かい後妻をもらう。
悲しいまでに峰子に尽くす岩治と後妻の行方は・・・・
たまたま本屋さんで見つけた本。
今日は買い物ついでのカフェで一気に読んでしまいました。