下川裕治著 「世界最悪の鉄道旅行 ユーラシア横断2万キロ」

世界最悪の鉄道旅行 ユーラシア横断2万キロ (新潮文庫)

世界最悪の鉄道旅行 ユーラシア横断2万キロ (新潮文庫)

ややこしくって極端に不便で危ないような旅など自分には絶対できないから 
逆にそそられるものがあります。

そんな厳しいけど面白そうな旅を本でちゃっかり実現してしまおうと思い
買ってみました。

東端のバイカル・アムール鉄道「ソヴィエツカヤ・
ガヴァニ」駅から西端のリスボン郊外の「カスカイス」駅まで
ユーラシア横断2万キロ(20962km)の旅です。

2010年(?)7月にスタート。のべ19ヶ国を通過して
10月の下旬に「カスカイス」駅に到着しました。

事前にきちんとした計画が立てられないので、行く先々で
ビザ申請をしないといけないが、ほとんどの場合順調にはいかなかった。

ロシア、中国では明治から昭和初期にかけての日本はじめ列強国による
歴史の痕跡、紛争国では現在の政治状況による人々の生活への
影響など実際に見た光景からのエピソードを盛り込んでいる。

一般のガイドブックは美味しいレストランや土産店や
観光スポットを中心に歴史や人々の暮らしなどを無作為に
述べているけど、これは通過点にそって書かれているので
一緒に旅している気分にさせてくれます。

アジェルバイジャン共和国の首都バクーは著者が
13年前に訪れた街とはがらりと変わり、石油で潤う
高層ビルの立ち並ぶビジネス街に変身していたと書かれている。
まさにオイルマネー恐るべしと感じさせるくだりです。

紛争地コーカサスでの爆弾テロやフランスでの交通ストライキ
など予想外の事故に巻き込まれハラハラドキドキのところも。

ただ地図が折り込み式でもっと大きくて 通過した
国名が書かれていると読みながら確認できますし、
年月日が入っていれば その時の世の中の出来事を
重ね合わせることもできるのにと思いました。

他に「5万5千円でアジア大横断」、「格安エアラインで世界一周」
なども出版されているので 懲りずにまた想像しながらの旅を
楽しんでしまいそうです。