古典から今を学ぶ 鴨長明 「方丈記」

鴨長明は”ゆく河の流れは絶えずして もとの水にあらず
よどみにうかぶ うたかたは かつ消えかつ結びて・・・・”
というフレーズで始まる「方丈記」を書いた人、
ということくらいしか頭に浮かばない。

この「方丈記」の中に長明が経験した自然災害の話が出てくると
聞いたので、何かわかりやすい本がないか探したところ
「NHKテレビテキスト鴨長明 方丈記」を見つけました。

鴨長明『方丈記』 2012年10月 (100分 de 名著)

鴨長明『方丈記』 2012年10月 (100分 de 名著)

昨年放映されたらしい番組は見ていませんが、
このテキストだけでも方丈記を知ることができます。

テキストには方丈記で触れられている災害が
リストアップされています。

23歳の時 京都で大火にあい、都の3分の1が焼かれ
数千人の焼死者が出た「安元の大火」

26歳の時 京都につむじ風(竜巻)発生。
風が通過した圏内の家屋はすべて破壊され
空中に舞った。「治承の辻風」

同じく26歳の時 平清盛により福原遷都が実施される。
旧都は廃れ、福原では遷都のため人々が土地を追われ 
当時の人心は一変した。

27歳の時 干ばつや洪水、戦乱で物資の流通が
遮断される等によって大飢饉が発生。鴨川べりは数万人の
餓死者で溢れた。「養和の飢饉」

31歳の時 滋賀県京都府の境付近で大地震発生。
山が崩れ、土地が裂け、津波液状化現象に襲われた。
余震は3か月。「元歴の大地震

想定外などないということを教えてくれます。

だからこそ家や物にこだわるのは愚かなことだと考え
3m四方の庵に自然と共に生きる決意をします。

エコライフやスローライフシンプルライフのお手本。

一方長明は最期まで世俗的な心が捨てられず、悟りきれない
弱い人間でもあったのです。
そこがまた方丈記の魅力で今でもずっと読み続けられている
理由だと著者は書いています。

京都伏見区日野町に庵の跡の方丈石があり、
また下鴨神社の河合神社には方丈庵が復元されているそうです。

むむ、しみじみ歩きながら当時を偲んでみたい・・・・^^

テキストの著者はこれは一種の”つぶやき”だと言っています。
長明が現代を生きていたらツイッターやブログで
人気者になっていたかも・・・と思うと敬遠していた古典が
身近に感じられました。