農家がアーティストになる?!

米作りが苗作り、田植え、収穫、脱穀だということ以外知らないし、
今では種類が多くてどれを買っていいか適格に選べないし、
1kg350円のものもあれば1000円を超えるものもあるお米。
その値段の違いは何なのかわかってないし・・・毎日ご飯を
食べているのに本当は自分は何もわかってないようです。

今回読んだのは自らを  「仕事:稲作、趣味:稲作、特技:稲作」
と述べている著者が語る稲作全般についての本です。

静岡県でお米の徹底した有機・無農薬栽培を行っています。
お米へのこだわりが尋常ではありません。そして生き方、考え方もユニークです。

*国内でも気候や土壌などの違いがあるから作り方も一律ではないのです。

*海外青年協力隊としてエチオピアに2年間住んだ結果、自給自足の精神を
 学びました。

*肥料も農薬も自分で少しずつ試しながら必要か必要でないか見つけていく。
 例えば肥料を大量に入れると逆に不健康な稲に育つこがわかった。
 そしてデンプンでなくタンパク質が増えて味が落ちてしまうことも。

酒米 「山田錦」は化学肥料、農薬ができる前に生まれた古い品種。
 なのでそういうものに対しての耐性がなく、いくらでも取り込んでしまう。
 野生種に近いから逞しいのです・・・そういうお米だったんですね。

*玄米食専用品種という位置づけの 「カミアカリ」 についての話も面白いです。
 

著者は若い頃 人間集団に違和感を持っていて なかなか居場所を見つけ
られなかったそうです。 でも結果的に それで強く農業にこだわりが
持てるようになり、 同じように志の高い仲間たちに恵まれていきます。

今 子育て中で 居場所を見つけられない子どもを持ってちょっと心配
という親御さんたちも それが子どもの利点なんだという発想を
持つことが大事だと教えてくれているように感じます。


(以下本文から引用)
うれしいことに、作り手、売り手、買い手、作物のすべてを巻き込んだ
「循環」が成立している。こうした循環がつくれているのは奇跡的だと
思っています(p.191)

「違う人間にカミアカリという同じ絵具とキャンバスをわたして、
それぞれの作品に仕上げてもらおう。そうすれば、生産者は意図せず
表現者になる。玄米専用品種の登場で農家がアーティストになるんだ」
(p.211 ) (以上引用終わり)


作者はさらに言います。
これからは「誰が作ったか」で選ぶ時代だと。

量はいらない。食べ物でもそれ以外でも できるなら誰が作ったかが
わかる商品を買いたいと わたしも近頃強く思うのです。