「強欲」資本主義から経済成長しない社会へ

大きく変わっていく世界。

この本は500年以上前まで遡り 世界経済の変わりゆく様子が書かれています。

そして当たりまえと思っている ”成長する経済”がついに終わりを迎え、
新たな世界の在り方を作る時期に入っていると言います。

ということは今、2%の経済成長を謳う政府の目標は実現できないということ?

そんな視点で見ていくと この先良くなるなんて過度な期待を持たず、
そして振り回されずに まずは何が起きているか知ることが大切。

万が一の時、仕方ないと諦めがつくかもしれないし、
最悪な状況を避けられるかもしれないし。



資本主義の終焉と歴史の危機 (集英社新書)

資本主義の終焉と歴史の危機 (集英社新書)

西欧発の資本主義が何百年も続いてきたのは 陸から海、海から
電子・金融空間へとコレクションしてきたからで、常に地球人口の
15%が残りの85%から搾取するというルールで成り立っていました。

戦後、経済的に発展した日本はこの15%に入ります。

これから先、アジアやアフリカの後進国の成長が著しくなってくると
この15%はどこへ行くかというと 各国の中で15%と85%に分かれていきます。
すでにアメリカはその状態、そして徐々に他の先進国にも拡がっていくんだと思います。


すでに広げる先がない現状では 次は未来からの収奪ということになりかねません。

それは未来に生きる人たちに負債を残し、地球の資源を取り尽くすということを意味します。

経済は成長するという当たりまえに思っていた資本主義に終わりを告げ、 
経済成長ゼロで持続させていく 新たなシステムを作らないといけない時期に
きていると著者は強く主張しています。
 

こうして歴史を通して見ると 今起きている理解できない争いの数々、
極端な経済格差、環境汚染、国家と資本家の力が逆転しているような
(本では ”国家が資本家の使用人になっている”と書かれています)
今の状況に納得がいくのです。


社会主義共産主義も結局は「一握りのエリート集団
又は大富豪と大多数の貧困大衆とに分解されていきます」
(馬淵睦夫著: 国難の正体――日本が生き残るための「世界史」より)
ということだから これも次のモデルにはなり得ない・・・


最後に著書からの引用です。

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この「歴史の危機」を直視して、資本主義からのソフト・ランディングを
求めるのか、それとも「強欲」資本主義をさらに鈍化させて成長にしがみつくのか。

後者の先にあるのは、破局的なバブル崩壊というハード・ランディング
あるにもかかわらず、先進諸国はいまなお成長の病に取り憑かれてしまっています。

資本の自己増殖が難しくなって以来、国境の内側や未来世代からの収奪まで
起きるようになりました。

その代償は、遠くない将来、経済危機のみならず、国民国家の危機、民主主義の危機、
地球持続可能性の危機という形で顕在化してくるでしょう。

それまでに日本は、新しいシステム、定常化社会への準備をはじめなければなりません。

私がイメージする定常化社会、ゼロ成長社会は、貧困化社会とは異なります。
拡大再生産のために「禁欲」し、余剰をストックし続けることに固執しない社会です。
資本の蓄積と増殖のための「強欲」な資本主義を手放すことによって、人々の
豊かさを取り戻すプロセスでもあります。

日本がどのような資本主義の終焉を迎え、「歴史の危機」を乗り越えるのかは、
私たちの選択にかかっているのです。

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800円弱の本なのに 内容濃く、強く衝撃を受けるものでした。