ひと時時間が止まったような贅沢な空間でした  「繕い裁つ人」

以前見た映画 「嫌われ松子の一生」 の主人公松子が転落していく
人生は哀れで切なく、中谷美紀さんが好演していました。 

その中谷美紀さんが主演する映画 繕い裁つ人 を見てきました。




主人公 「南洋裁店」の2代目店主・南市江は ”がんこおやじ”と
言われるほど頑なに職人スタイルを貫く女性洋裁師です。

一代目の祖母は普通に生きる人たちのために 一生着続けられる
一点物を作り出す人気洋裁師でした。

その後を継いだい市江は独自の洋服を作ることは考えずに ただひたすら
偉大な祖母が作った洋服の修理や作り直しだけをしていました。

”飽きたら捨てちゃえばいいや”ってお気楽な感覚で
洋服を選んでいる現代にそれでいいの?って投げかけているようです。

しかし洋服に魅せられた青年との出会いによって 
市江の洋服に対する思いに変化が・・・


定点で撮った既視感のある映像が印象的です。

古びた洋風の一軒家の中にある仕事場、 港が見える坂に上ってくる人たち、
街の白い壁を通りすぎる市江の姿、 丸くて大きいなチーズケーキを出すカフェ・・・

中でも光をうまく取り入れた足踏みミシンの置かれた仕事場の映像は
まるで絵画のように美しかったです。

数々のレトロな洋服とそれに付随するボタンや布、デザインブックなども
よく吟味されていて 時間がゆっくり流れていきました。

欲しいけれどそう簡単には手に届かない、ファスト時代に生きる
わたしの憧れの空間でした。