田中ミエ著 「ダンナ様はFBI」

日本に住むFBIのダンナ様は
このやわらかい日本人社会の中でさえ
強い危機意識を持って生活していて 
そのギャップゆえに笑えるエピソードがいっぱいだ。

ダンナ様はFBI

ダンナ様はFBI

しかしそれだけではなく ダーリンの著者の仕事への
厳しいまでの忠告はビジネス意識を高めるのに役立ち
特に仕事を持つ妻と母をこなす女性にとっては大いに
参考になる本でもあると思う。

コピーライターである著者に子供関連の仕事の依頼がきた時
どうしても気乗りがしなかった。
それは子育てが嫌いという証拠ではないかと落ち込む。

そこでダーリンは「得手不得手でしょ。個性でしょ。
僕は麻薬犯を捕まえるのは得意だけど、痴情のもつれの
犯人を追いつめるのは苦手だった」と説明する。
これは決して慰めではない。 本心から言っている。

君は母性が足りないなどと言われれば 売り言葉に
買い言葉になるけれど、こう言われれば素直になって 
また頑張れる。

「僕(ダーリン)のお弁当を作れない日があっていい。
娘をお風呂に入れられない日があっていい。
完璧にこなすことはない。だけど青信号点滅の時
走ってはいけない。踏切をくぐってはいけない。
たかが1、2分 それを焦る気持ちが君の目つきを変える。
君が持つ空気を荒れた印象に変える。
そういう行動は仕事から緻密さを失わせてしまう」とも忠告され
作者は納得する。

この本は2008年に出版され、その後
2010年に著者が想像できなかった出来事に遭遇する。
そのことは2012年発行の文庫版に掲載されています。