個人からビジネスの世界まで 世の中は 「持たない」方向に
向かっています。
かつて人が自分にないものを持っていることを羨ましがって
自分も持つという目標の元、 頑張っていた時代がありました。
ところがインターネットの時代になると 手軽にレンタルや
シェアができるようになって、持っていることがむしろ
手枷足枷となり 急激な変化に対応できなくなりつつあります。
金子哲雄著: 「持たない」ビジネス 儲けのカラクリ (角川書店)
この本は3年前に書かれた本ですが 今まさにその通りに
進んでいることが確認できます。
個人も企業もどう身軽にしているのか 具体例がたくさん
あげられています。
マイホームを持つことのデメリット。
資産を抱え込んだダイエーと 店舗を自社保有しない
イトーヨーカドーとの比較。
生産部門を持たないユニクロ、GAP、H&Mなどのアパレル業界や
アップルなどのデジタル機器業界、清涼飲料水業界などなど。
土地を保有しないで 宿泊施設の運営に集中しているため
成功しているホテルの 「東横イン」
人の要求が目まぐるしく変わる現代は 個人も企業も
それにそって対応しなければ 取り残されてしまいます。
でも著者は言います。
果たして 「持たない」世の中は人を幸福にするのかと。
持たないことによって 雇用が失われ 消費者である
労働者が減っていくと、やがて売り上げも減っていきます。
得して見える経営者も 結果的にはマイナスに働いていくのです。
国際的なルールづくりをしていかないと 結局負のサイクルに
陥ることになります。
また変化する国内の労働市場に見合った人材を作るための
教育が急がれるともいいます。
政府や自治体や行政など 呑気に他人任せにしていると
大国や巨大企業に いいようにされてしまいそうです。
とてもわかりやすく 今社会で起きていることを俯瞰できる
本です。