重信メイ著 「アラブの春」の正体

遠くて縁が薄いと思っているアラブについて知りたくて
これを選んでみた。

著者のお母さんが重信房子だそうで、勝手な思い込みでもって
批判的で偏った内容だろうと考えていたけど、素人の私にも
わかりやすく 全体的に冷静に書かれていると感じた。

チュニジアから始まったフェイスブックによる革命。
その後リビア、エジプトに広がり、日本での報道が
少なかったバーレーン、イエメンなどのアラビア半島でも
アラブの春」が起こっていったそうだ。

一見同じような民主化革命に見えるけど、国によって
意味合いが違い、為政者によってその収束の仕方は
まちまちだ。

またアラブについて初めて知ったくだりです。 

アラビア半島の砂漠ではもともと遊牧民が自由に行き来していた。
しかしある日突然 ヨーロッパによって国境に線が引かれ、
すべての人たちがどこかの国に属することが求められた。

人々はそれを知らなかったり、知っていても反発を感じたり、
半信半疑だったり、面倒だったりで応じない人が多くいた。

そのため国籍が取れず、社会福祉サービスが受けられない、
病院に行けない、教育が受けられない、就職も結婚も
できない人たちがいるという現実もあるとのこと。

本人の力ではどうすることもできない運命を背負った人たちがいる
国や地域がまだまだたくさん存在するということだ。

著者は最後に締めくくっています。
アラブの問題は宗教的な問題でもなく民族的な問題でもない。
人間的な問題なのです。
人間らしく生きたいという思いは同じなのです・・と。

ひとつ読んだらそれで合点してしまうのではなく
たまにはこういった違う視点からの情報も必要だと思う。