よくわかっていないエネルギーについてもう一度考える

東日本大震災後、エネルギーについていろいろ
読んではみたけれど 未だに納得できていません。

今回、この本を読んでみてストンと落ちるものがありました。


エネルギー論争の盲点 天然ガスと分散化が日本を救う (NHK出版新書)

エネルギー論争の盲点 天然ガスと分散化が日本を救う (NHK出版新書)


原発推進とか脱原発自然エネルギーとか節電とか、 
エネルギーの問題はそんな一面からでは解決しないのです。

わたしたちはエネルギーがないと一日たりとも生きていけません。

冷暖房、お風呂、料理以外にも 衣類から本から机の上にあるもの
まで、また外にでれば 交通、病院、商業施設、工場、公園・・・
すべてエネルギーがないと存在しないのです。農業さえもです。

太古の狩猟採集 → 農耕社会 → 産業革命という変化と共に
使われるエネルギーが膨大になっていきます。

世界人口も太古の1000万人から現在は70億人へと増加しました。
この辺りの人類史や経済史についても さらにわかりやすく書かれています。

家庭エネルギーは全エネルギーの10%。
だから各家庭での節電はほんの気休め程度。

石油、石炭、天然ガス、太陽光などの自然エネルギー
原子力は一次エネルギー。 電気は2次エネルギー。

ドイツはエネルギーに関してクリーンなイメージがありますが、
太陽光発電の結果が思わしくなく、結局原発での電力を
フランスから買い、石炭を多く使い、実情はお粗末だと言います。

化石燃料の枯渇というのも嘘で 少なくとも 数百年分くらいは
なくならないそうです。(永久になくならないとは言ってませんが)

自然エネルギーは天候に左右されやすく、使用可能量が少ない上、 
たくさんの電気を作ろうとすれば 巨大な土地が必要となって 
自然破壊に繋がります。 

また太陽光パネルのような機器は中国のような国に
真似されやすく、価格破壊が起こりやすのです。

電気は各所に届けるまでに多くロスしてしまうから
電気を作る側と使う側を極力近くに置く。
また廃熱を利用するのも良案のひとつ。

そのためには電気に頼るスマート・グリッドから
スマート・エネルギー・ネットワークへと広げていきましょう。 
(いろいろなエネルギーを組み合わせるというようなことです)

天然ガスシェールガスのような天然ガスアメリカ、ロシア、
オーストラリア、インドネシアなど広い範囲で産出されるように
なったため 日本も分散して輸入できるようになりつつあります。

天然ガスは地味な存在なので、なかなか注目されませんが一番
欠点が少なく、エネルギー効率のよいもの。期待したいものです。

多くの戦争の原因になってきたエネルギー。 
またどれも長所と短所を併せ持つエネルギー。 

安定した社会であるためには エネルギーを多様化して
取り入れることが大事だと著者は言います。


この本は2年半前に出版され、大震災後半年後のことです。
断片的な報道では決して見えなかったことも こうして
エネルギー全体を知ることができていれば、当時 もう少し
冷静に考えていたと思います。