「奈良県立美術館」 で今月24日まで開催されている 「大古事記展」 へ。
これまで訳本や解説本、また雑誌や漫画に至るまで「古事記」に
関連した本が数多く出版されています。
でも部分的にはわかっていても結局「古事記」って何なの?
壬申の乱の後 天武天皇は稗田阿礼(ひえだのあれ)に正しい歴史を習わせました。
途中で天武天皇が崩御したため 712年(和銅4年)元明天皇に命じられて
太安万侶(おおのやすまろ)が編纂し、完成させます。
全部で三巻。
第一巻(上つ巻)・・・編者の太安万侶の序文と神々の時代である神代を
第二巻(中つ巻)・・・初代天皇である神武天皇から第15代 応神天皇まで
第三巻(下つ巻)・・・第16代仁徳天皇から第33代推古天皇まで
物語が展開していきます。
「古事記」はずっと一部の人たちに伝えられただけでした。
原本はなく、後に写本されたものだけが残されています。
江戸時代の後半になって 国学者・本居宣長が研究を始めてから
ようやくその価値が認められ、多くの人の関心を集めるようにました。
本居宣長は3巻だった「古事記」に注釈を入れて44巻(!)にまとめています。
神武天皇が日向から倭(ヤマト)へ東征し、初代天皇として即位する話、
多くの姫を愛した大雀命(仁徳天皇)の皇后が嫉妬にかられ
恐ろしい計画を立てた話、
困難な西へ東へと征伐を命じる父親(景行天皇)に
絶望する倭健命(ヤマトタケルノミコト)の話など
人間が持つ悲哀についても語られています。
(写真左)「天孫降臨」 (写真右)「天岩戸 曙光」
どちらも古事記の有名な場面。
多くのアーティストが古事記をテーマに作品を作ってきました。
今回は川鍋暁斎、青木繁、前田青邨、富岡鉄斎などと共に
現代アーティストの作品も展示されています。
ゲームやCG作品もあり、古代日本を体感できるようになっています。
理屈でなく、感じれば「古事記」も楽しめるんだと思いました。
「ぼおるぺん古事記(一)天の巻 その八 ゑらぐゑらぐ」
漫画もたくさん作られています。
今から35年前、奈良市此瀬町の茶畑の斜面で太安万侶の墓が
発見されます。
墓主が書かれた墓誌には名前、居住地、死亡年月日、階位が書かれ、
実在の人物だったことが判明します。
(上記3枚の写真はポストカードを撮影)
NHKテレビテキスト 「100分de名著 古事記」 から引用します。
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日本書紀には、中央の人たちが望んだ理想としての ”一つの「日本」の歴史”
が記されています。
これに対して、古事記に記されている歴史は「一つの日本」ではありません。
いや、そもそも「日本」さえ存在しない古事記には、正統の歴史が固定化する前の
もやもやとした海月(くらげ)なす歴史が映しだされているのです。
・・・(略)・・・
ヤマトだけでなく、出雲にも、高志にも、筑紫にも、日向にも、沖縄にも、
それぞれ雑多な ”草” のような歴史が蔵されています。
古事記という書物は、そうした日本人の多様性を考えるきっかけを
与えてくれるように思います。
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(写真左)猿沢の池
(写真左2番目)JR奈良駅
(写真左3番目)ならまちの家々の入口に吊り下げられている縁起物”身代わり猿”
美術館を後にして”荒池”方面に歩いていきます。
レトロなホテル ”奈良ホテル” で一休み^^